遺言

遺言とは
 遺言(いごん)とは,15歳からできる自分の死後の法律関係を定める最終意思の表示のことです。本人の意思を尊重することから,他の人の同意は必要ありませんし,代理人によってすることもできません。
 遺言で出来ることは,法律で次の17項目に限定されています。
(1)相続の法定事項の修正に関する事項
@推定相続人の廃除・廃除の取消 A祖先の祭祀主宰者の指定 B相続分の指定 C特別受益の持戻しの免除 D遺産分割方法の指定 E遺産分割の禁止 F遺産分割における担保責任に関する別段の定め G遺贈の減殺方法に関する別段の意思表示
(2)相続以外の財産処分に関する事項
H遺贈 I相続財産に属しない権利の遺贈について別段の意思表示 J財団法人設立のための寄附行為 K信託の設定 L生命保険金の受取人の変更
(3)身分関係に関する事項
M認知 N未成年後見人の指定 O未成年後見監督人の指定
(4)遺言の執行に関する事項
P遺言執行者の指定
 上記以外の事項,例えば「兄弟力を合わせ,清く正しく生きるように」「葬儀は身内だけで行い,遺骨は海に撒いてほしい」といった遺言をしても法律上の効果は生じませんが,事実上は最後の意思として尊重されるということはあるでしょう。
遺言の方法
 遺言を法定の方式に従って書面に記載したものを遺言証書といいます。遺言証書の作成方法には,普通方式と特別方式があります。7つのどの方法によっても,前にした遺言を撤回することができます。
(1)普通方式
種類 作成方法 長所 短所
自筆証書遺言 全文・日付・氏名を手書きして押印すれば作成できます。 最も安価で簡単に作成でき,変更もしやすく,証人も必要ありません。遺言書の存在を秘密にすることもできます。 方式不備により無効になったり,内容が不完全なためにその効力が問題になることも多く,保管方法によっては紛失・隠匿・偽造・変造のおそれがあります。相続開始後は遅滞なく家庭裁判所の検認が必要です。
公正証書遺言 証人2人以上の立会いの下,遺言者が遺言の趣旨を公証人(在外邦人のときは領事)に口授します。公証人が筆記し,遺言者と証人に読み聞かせ(又は閲覧させ),各自署名・押印します。遺言者が署名できないときはその事由が付記されます。原本は公証役場で保管されます。 遺言について詳しい知識が無くても,自署できなくても作成でき,その効力や表現が問題になることは比較的少なく,偽造・変造・盗難・紛失のおそれもありません。家庭裁判所の検認も不要です。 遺言の内容が証人,ひいては証人を通じて利害関係人に知られるおそれがあり,内容の変更にも同じ手間がかかります。公証人手数料数万〜数十万円の支払のほか,実印,様々な証明書が必要です。
秘密証書遺言 遺言書に自筆署名・押印して封じ,同じ印章で封印します。公証人(在外邦人のときは領事)1人と証人2人以上の前に封書を提出して「自己の遺言書である旨,筆者の氏名・住所」を申述します。公証人が遺言書の提出日・遺言者の申述を封紙に記載し,遺言者・証人と共に署名・押印します。遺言書は公証役場に保管されません。 遺言書の存在を明らかにしておきながら,生前は遺言の内容を秘密にできます。本文は自筆でなくても良く,代筆でも印字でも点字でも作成できます。方式に不備があっても,自筆証書遺言の要件を満たしていれば,自筆証書遺言として有効になります。 方式不備により無効になったり,内容が不完全なためにその効力が問題になることも多く,保管方法によっては紛失・隠匿のおそれがあり,公証人手数料の支払も必要です。内容の変更にも同じ手間がかかります。相続開始後は遅滞なく家庭裁判所での開封・検認が必要です。
(2)特別方式
※遺言者が普通方式の遺言ができるようになってから6ヶ月間生存するときは無効となります。
種類 作成者 作成方法
隔絶地遺言 伝染病隔離者遺言 伝染病のため行政処分により交通を絶たれた場所にある者 警察官1人と証人1人以上の立会いの下,遺言書を作成します。遺言者・筆者・立会人・証人は各自遺言書に署名・押印し,できないときはその事由を付記します。
在船者遺言 船舶中にある者 船長または事務員1人と証人2人以上の立会いの下,遺言書を作成します。遺言者・筆者・立会人・証人は各自遺言書に署名・押印し,できないときはその事由を付記します。
危急時遺言 船舶遭難者遺言 船舶遭難の際,当該船舶の中で死亡の危機が迫った者 証人2人以上の立会いの下,原則として口授します。証人はその趣旨を筆記して,署名・押印し,できないときはその事由を付記します。その後遅滞なく家庭裁判所の確認を得ます。
死亡危急者遺言 疾病その他の事由により死亡の危機が迫った者 証人3人以上の立会いの下,その1人に遺言の趣旨を原則として口授します。口授を受けた者は筆記し,遺言者と他の証人に読み聞かせ(又は閲覧させ),各証人が署名・押印します。その後20日以内に家庭裁判所の確認を得ます。
遺言者の判断能力に疑問がある場合
 遺言は,できるだけ生前の意思を尊重しようとする制度ですから,認知症や成年被後見人だから出来ないということではありませんが,その遺言による結果を弁識する能力が必要です。その能力は遺産や遺言の内容に対応した能力が求められ,遺言者の年齢,健康状態,生活状態,遺言時の諸事情,遺言の内容等を総合して遺言能力の有無が判断されます。
 成年被後見人の場合,物事を認識して判断する能力が常に欠けている状態ですので,通常は遺言をする能力は有りませんが,事理を弁識する能力を一時回復したときは,医師2人以上が立ち会って事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を付記し,署名・押印することによって遺言書を作成することができます。
 被保佐人や被補助人の場合は,一般の人と同様に,同意を得ることなく自らの意思で遺言をすることができます。
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